今回は実際に人材紹介事業を行うにあたり立ち上げに必要なコストとリソースを公開していきます。これまでお伝えしてきたとおり、こちらのサイトではあくまで小規模事業主を対象としているので、立ち上げにあたり1名あるいは2名程度のリソースを想定しています。
また初期費用などのコストもなるべく抑えたうえで最大限の成果を出すことを目標にした戦略をお伝えしています。
そのため会社に充分なコストや人的リソースが使えるという場合には、他の方法で事業を立ち上げたほうが効果的な可能性がございますのでご承知置きください。
それでは参りましょう!
目次
2人からはじめられる人材紹介事業
前回までのおさらいとして、シンプルな人材紹介事業のフローとして5ステップご紹介してまいりました。覚えていますか?再度確認していきましょう。
ビジネスモデルの復習はこちらからお願いします。↓
人材紹介事業のビジネスモデルを理解して、最速でキャッシュを生む方法また、小規模事業主の場合、RAを諦めCAに絞ることでリソースの少なさをカバーしながら最短で収益を出すことができるということもお伝えしました。
はじめに結論からお伝えすると、人材紹介事業はミニマム「2名」からはじめることができます。
なぜ2名かといいますと、最低限必要なリソースとしてはかならず「CA(キャリアアドバイザー)」と「求人が書ける人」が必須だからです。もし求人票を書ける方が事業を立ち上げた場合、CAと両立ができるのであれば後者さえ不要かもしれません。
ただ求人票を書くのは結構手間がかかるのと、毎日運用をして長期的にノウハウを蓄積する必要があるので、集客を担当する求人運用担当はべつで設けたほうがよいというのが所感です。
求人が書ける優秀な人材を1名採用する
私が人材紹介事業を立ち上げたときに一番最初に採用したのが、「求人が書ける人」でした。ちなみにその方はクラウドワークスで採用することができ、採用には特に苦労しませんでしたが、某大手人材会社で働いた経験のある方でとても優秀でした。つまりは運がよかったのだと思います。
「求人を書く」というのは一見地味で誰でもできそうなことですが、実は人材紹介事業を運営していくにあたり必要不可欠な存在です。というのも、CAがどんなに優秀でも求職者が集まらなければ事業として成り立たないのと、中長期的に、集まる求職者の質が大きく事業の存続に関わってくるからです。
また集客面もどんどんブラッシュアップしていくべきものなので、自分の頭で考えて求人をつくれる能動的な方かつ長期的にコミュニケーションを取っていける協力的な人材を採用しましょう。
できれば精通した外部の人を1名採用する
これでCAと求人担当の2名が揃いました。これで事業をはじめる準備は揃いましたね。ここからが重要なのですが、もし今回の人材紹介事業立ち上げ責任者が、人材紹介の経験者であればスタートしてOKです。が、もしも担当者が人材紹介業未経験者の場合、このままスタートを切るのは危険です。
人材紹介というのはかならず勝ちパターン(つまり、マニュアルや計画)があります。それを知っている人を外部からひとりコンサルという形で採用するのがベストです。ただ、この場合のコンサルは業務委託で副業をしたい人材紹介経験者で充分です。実際に面談をしたり手を動かすのは事業立ち上げの責任者なので、あくまで勝ちパターンを知っている人をコンサルという形で採用するということです。
ちなみに、私はまず求人を書ける優秀な人が採用できて集客は全く困ることがありませんでした。その次に採用した業務委託の外部コンサルの方がまた非常に優秀な方で、このお二人のおかげで迷うことなくスムーズに立ち上げることができました。めちゃくちゃ運がよかったと思っています。
参考までにお伝えすると、求人担当は業務委託で月6万程度、外部のコンサルの方は副業で月5万からのスタートでした。人件費で考えてもかなり効率の良いスタートダッシュを切ることができたと思います。チームづくりのために人を採用するときにはかならず小さくはじめましょう。
クラウドソーシングはピンキリだからこそ「採用」は数だ!
ここで重要なことをお伝えすると、「最初に採用した2人が優秀だったから成り立った」と改めて実感します。しかり採用の手法はすごく単純で、どちらもクラウドワークスでの採用でした。普通に求人を出して、普通に面談をして、普通に採用しただけで特別なことはなにもしていません。
そういう意味でも、「誰がやっても再現可能」な体制づくりかと思いますのでぜひ参考にしてください。下記に、これまで色々と使ってきてよかったクラウドソーシングのサービスを書いておきます。この3つに求人を掲載しておけば必ず良い人材と出会えます。
- クラウドワークス
- ジモティー
- ランサーズ
優秀なCAがいれば人材紹介事業立ち上げは成立する
ここでいきなり本質に入りますが、人材紹介事業を立ち上げ売上をある程度安定させ、かつチーム作りまで行った経験から言いますと、「優秀なCAがひとりでもいれば事業は成立します」。
逆に言えば売上を出せないCAが何人いても売上は上がりません。当然といえば当然なのですが…。人材紹介事業は「人を増やせば売上も上がるビジネスモデル」と言われがちですが、実際はそんなことはありません。ここが難しくもあり単純なところなのですが、CAというのは世間で思われているよりもやることも多いし、対人コミュニケーションスキルが求められます。
収益をあげるスキームやビジネスモデルは単純なのでなんら難しいことはないのですが、優秀なCAをチームに引き入れるのが難しいのです。
逆にいえば、売上を出せるCAが見つかっていれば人材紹介事業はすぐにでも立ち上げたほうが良いです。見つからない、あるいは見つからなそうということであれば、焦って立ち上げないほうが吉です。ここが本当に肝なので、慎重に検討してください。
1名で200万が稼げるようになったら拡大を目指せ
優秀なCA、優秀な外部コンサル、優秀な求人担当。これがミニマムかつベストなチームです。そしてローコスト。これ以上効率の良い事業立ち上げは無い、というほどです。そして、最初のCAがひとりで月200万円の売上をあげられるようになったら、人員拡大を目指しましょう。
理由は、誰かひとりが月200万円売り上がらない場合、まだ体制やスキームが未成熟だからです。また、利益が出ていないのにコストを上げてしまうと自ら首をしめることにもなってしまいます。
まずは最初のCAで月200万。これを絶対の目標にしていきましょう。利益率は50%くらいを目標にすると良いです。具体的な利益率やコストの話はこちらの記事で詳しく解説しています。↓
マニュアルと管理体制の整備は必須
そして当たり前かもしれませんが、事業立ち上げには上手くいったこと・いかなかったこと、すべてメモをして残しておきましょう。そして上手くいったことは特に、「マニュアル」としてテキストに残していくことを意識してください。
マニュアル作成は意外と奥が深くて簡単にできることではないのですが、これは別のスキルでありプロに頼むことも視野に入れたほうが良いですが、まず大切なのは、上手くいったことを残すという行為です。そうじゃないと、ノウハウや知識がすべてCAだけに溜まってしまい会社に残らないのと、新しいCAが入ってきたときに再現性がなくなってしまいます。
ここまで考えてきちんとやっていけば拡大も難なく行うことができるでしょう。
集客はIndeedからスタートせよ
また集客についてはIndeedを使うことをおすすめします。これも複数のなかから検討した結果、最もコストを抑えられてかつ集客性の高いIndeedを採用しました。
実は、人材紹介で使える集客サービスはそう多くありません。多くの人材紹介会社はスカウトサービスを使います。
ただしスカウトサービスは月額80〜100万円かかることが多く、小規模事業者がいきなり手を出せる金額ではないのと、私たちがターゲットとしているローキャリア層の決定単価では割に合わないのが理由です。
あと、スカウト業務がめちゃくちゃ大変です。スカウト業務をしっかりやるならば専業でひとり採用する必要があるので、これも「立ち上げ」という意味では無し。
- 自前で運用できる
- コストを抑えられる
- ちゃんと集客できる
上記の3つの理由から、初期段階の集客はIndeed一択と思います。ちなみに私は初期〜ずっとIndeedだけで集客していましたが、捌き切れないほど応募がありました。ターゲット層を広げない限りはIndeed運用だけで充分です。
Indeedで使うべき広告単価は?
もうひとつ重要なことは、「Indeedの広告費をいくらかけるべきか」という点です。これに関しては、最初は10万円からスタートすると良いです。理由としては、最初からかけすぎないこと、かけなさすぎないこと。かつきちんと集客が見込めるだけの額が適切ということで、10万円が妥当です。
このやり方ならもっと集客できる、という仕組みが整ったら少しずつ広告費を上げていきましょう。
人材紹介は結局のところ「面談数」と売上が密接に絡み合ってきます。そのため集客がかなり肝になってきます。求人担当の腕にある程度関わってくるのですが、まずは少ない額から運用を行い、人が集まる求人の精査とブラッシュアップに時間を注いでください。
詳しくはこちらの記事で解説しています。↓
小規模事業主の味方「求人データベースサービス」
ギアを上げて続けていきます。これまでの記事で何度も「RAを諦めCAに絞ることでリソースの少なさをカバーしながら最短で収益を出す」とお伝えしてきました。ということは、通常RAが行う「企業の求人開拓」をなんらかの形で補う必要がありますね。
そのため私は「求人データベース」サービスを使うことを強く推奨しています。
求人データベースには豊富な業種・職種の求人案件があるので、人材紹介会社は求人企業に営業しなくとも求職者に紹介する求人を使って人材に求人を紹介することができます。また、一元管理システムによって求職者や求人の管理にかかる工数も削減できます。
求人データベースのサービスのメリットとデメリットをお伝えします。
求人データベースのメリット1:固定費を抑えることができる
これまでお伝えしてきたとおり、企業開拓というコストを抑えることで全体の固定費をかなり低くすることができます。営業人材の確保はコストがかかるので事業の立ち上げ期には必要ないかなと思います。
求人データベースのメリット2:素早く人材紹介事業をはじめることができる
求人データベースには何千という求人があります。つまり、「今すぐ人材を採用したい」と思っている企業がそこにはわんさかいるわけです。極端な話をすれば、そこに対して良い人材を紹介することができれば、もう人材紹介事業の完成です。かなり手軽に事業をはじめることができますよね。
求人データベースのメリット3:システムで一元管理できる
求人データベースのサービスには管理画面があり、そこで求職者の面接等の管理ができます。これがないと自社で何かしらの方法で管理する必要があるので、人数が増えてくるとかならず漏れが出てきます。そういう意味で使いやすいシステムを提供してくれるので、大きなメリットとなります。
求人データベースのデメリット1:月額もしくは手数料がかかる
デメリットというわけではないですが、求人データベースを使うには費用が発生します。月額制か決定単価に手数料がかかるパターンのどちらかがほとんどです。私たちがターゲットにしていく層の平均決定単価から考えると、結構イタイです。でもこればかりは利用料なので仕方ないですね。
求人データベースのデメリット2:企業と直接会話ができない
このデメリットは、私自身何度も経験したことがあります。RAがいる会社(中小〜大手企業)は人事の採用担当者と直接コミュニケーションを取っています。こちらはかなり密にやりとりできますので、「情報交換」という点においてかなり不利に働くでしょう。実際、求人データベースを使ってシステム上で企業の担当者とやりとりはできますが、やはりチャット上のコミュニケーションと、直接電話で話すことのできるコミュニケーションでは、密度に差が出ます。
なぜ求人データサービスを選ぶべきなのか?
メリットとデメリットを両方見てきたうえで、それでも私は人材紹介事業の立ち上げには、求人データベースの利用をおすすめしています。理由は色々とありまして後にも説明しますが、月額費用といっても大きな額では無いことが多いので、ひとり採用できればペイできる程度です。売上をあげてゆく段階で重荷になるほどではないことがひとつ。
もうひとつは、UIの良いシステムを使うことができれば、大幅に人材管理を効率化できるからです。RAのいる会社に比べて企業との距離が遠いので若干不利であることを除いては、メリットのほうが大きいです。
また個人的には、「RAのいる会社に比べて企業との距離が遠い」からと言って、企業からすれば「距離が遠い会社だろうが良い人材であれば採用したい」と思うので、そこまで大きなデメリットでもないのかなと思っています。
主要な求人データサービス
ここで、国内の主要な求人データベースのサービスを6社ご紹介します。私は人材紹介事業立ち上げの際、このなかの5社ほど実際に使ってみました。なので概ね求人の質やUIなども比較したうえで最終的に1社に絞りました。
- agent bank(エージェントバンク):月額20万
- Crowd Agent:月額10万円+発生手数料の30%
- マイナビジョブシェアリング:月額5-10万円+発生手数料40-50%
- JoBins:月額無料 手数料無料
- Sardine(サーディン):月額20万円
- リクまどα:月額無料+発生手数料の10%
- エクスオード:月額無料 手数料無料
JoBinsやエクスオードは料金がかからないので(別途管理システムなどで料金が発生します)、求人だけであれば無料で使うことができます。プラスアルファ導入してみても良いかもしれませんね。
最もおすすめしているのはagentbank(エージェントバンク)
私が最もおすすめしている求人データベースはagentbank(エージェントバンク)です。事業の本格立ち上げの前にいくつかのサービスを使ってみたうえで一番よかったのがagentbankでした。3ヶ月無料期間があるので使ってみて、そうするとエントリー数に限りがあるので有料プランに移行せざるを得ないという非常にうまい戦略にハマり(笑)そのまま使い続けていました。が、UI/UXがとても分かりやすく使いやすいです。
またサポートが早くて丁寧なこと、月額費も(契約期間によりますが)私のときは25万と決して高くなく、ひとりでも採用できればペイできる額だったので不満なく使わせていただいていました。中の社員さんも素敵な方が多いです。
私は結構サービスの綺麗さとかUI/UXは見てしまうほうなので、そういった点で優れているagentbankを選びました。また経験則にはなりますが、UI/UXがイマドキじゃない(色味や使い勝手が良くない)サービスって、単純に開発力が劣っているという証拠になってしまうと思っています。
というわけで、個人的にはagentbankをおすすめしています。 ※サクラでも中の人でもございません
まとめ
ここまで人材紹介事業の立ち上げに必要なコストと成果が出るまでに必要なリソースを説明してきました。まとめると、
- CA1名(正社員として月35万)
- 外部の業務委託人材(月5万程度)
- 求人担当(月5〜10万程度)
- 集客(Indeed)の広告費(月10万)
- 求人データベース(agentbank)の月額費(月25万)
合計 約80万
約80万円あれば人材紹介事業をはじめることができることがわかりましたね。我々小規模事業者がターゲットにしたい層の平均決定単価を35万とすれば、月に2〜3名決定することができればペイできます。5名決定すると、利益率を50%に維持した状態で月に95万の利益を出し続けられます。
いかがでしょうか。利益率50%のビジネスをつくるのってものすごく大変なことですよね。ですが、この記事でご紹介した方法で事業を立ち上げると、スピーディかつローコストで、かなり再現性の高い人材紹介事業のスキームが出来上がります。