具体的に人材紹介事業においてどのような業務が発生し、どのような流れで収益に結びつくのかを解説していきます。これまでの記事では人材紹介事業のビジネスモデル、立ち上げに必要なコストとリソースについて説明をしてきました。
まだ見ていないという方は上記から確認してください。
大まかな流れが理解できたところで、今回はより具体的な業務内容に入っていきます。できるだけ細かく説明をしていきますのでついてきてくださいね。基本的に「毎日行うこと」というところまで落とし込んで紹介しますので、このまま実践していただければ売上に直結しますよ。
1.集客する
まずは集客です。これまでご紹介してきたとおり、小規模事業者の人材紹介事業立ち上げにはIndeedをおすすめしています。かつ最初の広告費は10万円で充分です。場合によっては5万円でも構いませんので、小さくはじめていきましょう。
求人を書く方法
「求人を書くって一体どうやるの?」という疑問が湧くかと思いますが、ご安心ください。私たちは自社採用ではなくあくまで「人材紹介」なので、すでに人を採用しており求人を持っている会社を相手にしていきます。
なので私たちが求人をゼロから書く(これは結構大変)必要はなく、使用する求人データベースから求人を拝借しましょう。ちなみに私がおすすめしているのはagentbankです。
人材紹介事業の立ち上げに必要なコストと成果が出るまでに必要なリソースagentbankには4,000社近い求人が掲載されていますが、すべてが集客に使って良いというわけではなく、「集客に使って良い求人」と「集客に使ってはいけない求人」がありますので要注意です。他のデータベースも同じようになっているのではないかと思います。
「集客に使って良い求人」を使い私たちのIndeedアカウントで公開していきましょう。
毎日掲載する
求人をいくつか載せるとそれで集客ができると思っている方が多いですが、それは間違いです。求人はできるだけたくさん、かつ頻度が高ければ高いほど良いのです。そのためできれば毎日、複数の求人を掲載し続ける必要があります。
求人データベースには毎日新着の求人がアップされますので、随時チェックして、私たちも毎日Indeedに新着記事を掲載していきましょう。すると毎日「新着」マークのついた求人が上がってくるので、反応率もアップします。
ルーティン化してノウハウ蓄積
求人を毎日書いていると、「こういうタイトルが反応が取れる」「こういう書き方をするとターゲット層に響く」など勝ちパターンが分かってきます。それぞ逐一「ノウハウ」として蓄積していきましょう。
この蓄積があとあとかなり効いてきます。
人材紹介ではまず、ほとんどの会社が集客でつまづきます。逆に、集客ができる会社は面談の質が上がっていくので時が経つにつれて売り上げが上がってきます。この差は歴然ですね。最初はどんどん手を動かして、PDCAを回していきましょう。
必要ツール
- Indeed
- 求人データベース(agentbank)
- Googleドキュメント(ノウハウ蓄積、データ解析)
2.面談をする
応募が来たらできるだけすぐに面談を組みましょう。これがとても大切です。
面談に限った話ではないのですが、私たちのターゲットとする層は「めちゃくちゃ仕事に困っている」と思っておきましょう。仕事に困っている人の優先順位はなんでしょうか?
はい、そうです。「スピード」なんですよね。仕事がなくて困っているわけですから、早く内定を出してくれるところに行きたい。これが心理です。面談から内定までできるだけ早く行えるよう意識していきましょう!
応募者に面談の日程を送る
話はすこし逸れてしまいましたが、応募が来たらできるだけ近い日程で空いている日程を送ります。ポイントは「こちらから日程を送る」ことで相手に「このなかから選ばせる」ということです。
「空いている日を教えてください」って言われると面倒くさいですよね。よくメールで送られてきますが、あれ面倒くさいじゃないですか(笑)面倒くさいって思われると平気で離脱されてしまうんですよね。
求職者がかならず、ノンストレスで行動してくれるように細心の注意を払いましょう。これができるだけでも他社より頭ひとつ抜けることができます。
Zoomで面談をする
コロナ禍になる前は面談は基本的に対面だったようですが、今はほぼWEB面談です。ツールはなんでも良いのですが、GooglemeetsかZoomが無難かと思います。私はZoomを有料アカウントにして使っていました。有料にすると画面録画や複数名参加ができます。
Googlemeetsはブラウザで行うためPCが重くなることから使わなくなりました。あと、Zoomの仮想背景が便利。
面談の仕方については奥が深すぎるので別の記事で解説しています。
LINE@に案内する
Indeed上で面談の日程調整を行い、Zoomで面談を行います。その後、第2回目の面談の日取りを決めたり、履歴書・職務経歴書の回収をしなければならなかったり、企業との面接日程を調整したりなど、細かなやりとりが発生します。そのため面談中にその旨を伝え、企業用LINE@への案内を促してください。
多くの人材紹介会社はまだメールでコミュニケーションを行っているところも多いです。しかし現代の若手人材(特に我々のターゲット層)は想像以上にメールを見ない世代です。
面談から内定承諾までは本当にスピード勝負だからこそ、LINEへの誘導を確実に行っておきましょう。コミュニケーションをLINEにするだけでも100倍くらい連絡がつきやすくなります。
第2回目の面談を設定する
対面で面談をしていた頃は面談〜求人提案までその場で行っていたようですが、WEB面談になってからはそれができなくなりました。なぜなら若手人材のほとんどがWEB面談をスマホで行ってこられるので、その場でPDFを確認する方法がない(あっても手間がかかるので嫌がられる)のです。
なので、一度面談をしたらどういう求人を提案するかイメージしつつ、次の面談をセッティングしましょう。
応募承諾を取る
第二回目の面談で応募承諾(エントリーする企業を決めること)を取ります。ちなみに応募承諾数は多ければ多いに越したことはありません。少なくとも5社以上は目標にしましょう。
コロナ禍で書類選考が通りづらくなっているので、エントリー段階でエントリー企業を狭めてしまうと、あっさり全部落ちて手持ちの球がゼロ…なんてことが起こります。求職者は「受ける企業」を慎重に選んできますが、「そうじゃないよ」「多めに出しておきましょう」という話をしっかりとしてあげてください。
必要ツール
- ZOOM(無料版でも○)
- 企業用LINE@
3.エントリーする
面談をして応募承諾まで取った。ここからが少し忙しいのです…!というのも、企業にエントリーするには、
- 履歴書
- 職務経歴書
- 推薦状
の3点を用意して書類を提出しなければなりません。そして、我々のターゲット層であるローキャリア人材の特徴として「自分で書類をつくれない」というものがあります。
しかしエントリーには書類が必要です。ということで、「こちらで作る」か「作ってもらう」かのどちらか効率の良い方で進めていかなくてはなりません。これが意外と大変で、しっかりサポートしてあげなければ全く前に進まないのです。
書類を用意する
具体的に必要な書類は、履歴書と職務経歴書です。証明写真はスーツ必須、学歴と職歴を分けて書く。志望動機は複数社に出しても違和感のないもの。ということでサクサク進めていきましょう。
先ほどもお伝えしたとおり、ここで「やっといてね」としてしまうとピタッと動きが止まってしまう方がほとんどです。なので、「こちらで作る」か「作ってもらう」か会社としての方針を決めまししょう。
多くの人材紹介会社は作ってあげるという方法を採用しています。私のときは、ほぼひとりで全業務回していたので大変すぎる!ということで「作れる人には作ってもらう。作れない人は下書きまでが頑張ってもらって仕上げはこちらで行う」という風に人によって分けていました。参考までに。
推薦状を書く
続いては推薦状です。推薦状ですが、検索するとフォーマットが出てきますので好きなものを使いましょう。ここでそんなに時間をかけるほどでもないので、短めで大丈夫です。参考までにこのようなイメージです。
引用:日本の人事部
エントリーする
ここまでできたら、次はエントリーです。エントリーは今回の場合、agentbankから行います。履歴書と職務経歴書、推薦状の3点セットを、日付を確認して応募企業へ送信しましょう。
必要ツール
- AcrobatPro(書類の修正にPDF編集ツールが必須)
- Microsoft word(推薦状)
4.面接対策をする
書類選考に通過したらそれだけですごく嬉しいですね。とはいえ、当たり前ですが、勝負はここからです。面接の通過率は高いところで40%、低いところだと限りなく0%に近いなど企業によりけりです。
私たちのターゲット層を企業に推薦するときにはできるだけ面接の通過率が高いところを狙いましょう。
通過率の低いところだと、経験や学歴でどうしても不利になってしまうので苦戦することになります。あらかじめ通過しやすい企業を選定してあげることによって、求職者のモチベーションも上げることができます。
事前対策
面接練習は必須ですが、そのまえにまず「企業に必ず質問されることリスト」をつくってあげて、あらかじめワードなどで送ってあげてください。私たちのターゲット層は転職が初めての方だったり、自発的に面接対策ができない方がほとんどです。
そのためこちらから用意しておいた事前対策シートを見せてあげることでイメージを掴みやすくなりますし、まずはテキストベースで回答を用意していただき、添削をします。この時点でしっちゃかめっちゃかだった場合、そもそも面接練習にならないので、まずはテキストで添削をしてあげましょう。
面接練習
面接練習は一度はかならず正装で来てもらいましょう。2回目以降でもう心配ない、という方の場合はラフな格好でも大丈夫です。
男女ともに髪型は乱れていることが多いので注意してください。また面接練習の際には、あらかじめつくってもらっていた事前対策シートをもとに上から質問をしてあげて、回答の仕方をチェックします。面接官になりきって、多少変則的な質問も混ぜるとベターです。
また面接練習のなかでは、
- 結論から答え、補足で説明を加えること
- 聞かれていないことまで答えないこと
- 志望動機は事前に練り上げること
この3つを意識するように教えてあげましょう。
当日のリマインド
面接の前日と当日はできれば面接日時のリマインドと激励のメッセージを送りましょう。もちろん、激励の意味も込めていますが、目的は「リマインド」です(笑)企業の面接日を忘れるなんて…と思うかもしれませんが、普通に忘れてしまう方も見受けられます。あとは、時間間違いもたまにあります。
そのため前日の日時リマインドと、当日の激励のメッセージで2日連続メッセージを送信するとGOODです。
5.面接フィードバック
求職者の面接が終わったら、なるべく早く面接のフィードバックをもらいましょう。一番やってはいけないのは、面接のあとにそのままにしておくことです。求職者は面接に行くころでなにかしらの思いを抱いています。意向が上がっているるか下がっているか、はたまた何も感じなかったの3択しかないのですが、いずれにしてもしっかり現場の思いをヒアリングしておきましょう。
面接の感想を聴く
まずはざっくりと面接の感想を聞きます。具体的には、
- 今日の出来は何点だったか
- ぞれはなぜか
- よかった点(企業の)はどこか
- 懸念点や不安点(企業の)はどこか
- その他なにか言えなかったことや聞けなかったことはあるか
- 内定が出たら入社したいか(意向度)
このあたりをざっくばらんに聞いていきます。ポイントはできるかぎり具体的に聞いていくことです。懸念点や不安点などのネガティブポイントが出てきた場合には、それが本人の誤解だったり、企業側に聞いてあげることで解消できることもあります。
できるだけネガティブポイントを潰してあげるようなコミュニケーションを取りましょう。
企業への志望度をきく
面接フィードバックで一番大事なことは、その企業への志望度を知るということです。複数社受けている場合には、順位までわかるとベストです。なぜこれを行うのかというと、面接を受け終わったあたりから「売上見込み」を立てていく必要があるからです。
- 求職者の企業への志望度が高い
- 企業の求職者への確度も高い
ということになると、売上見込みとして計上しても良いということになります。こういう人が何人か出てくることで「今月はこれくらいはいきそうだな」ということがなんとなくわかるようになります。
志望度を上げる
面接フィードバックでは「売上予測を立てる」という目的以外に、密なコミュニケーションのなかで「受けている企業への志望度を上げる」ということを行いましょう。単純にエントリーをして、面接を受けてもらって、フィードバックして、ということを淡々とやっていても、途中で意向度が下がる可能性が高いです。
なぜかというと、求職者は他の企業も受けていたり、他のエージェントを使って転職活動をしている可能性が高いので、他社に流れてしまうということが頻繁に起こります。
私たちの狙っていくターゲット層や戦い方は、他社に比べると決して求人が強い(魅力的)というわけではありませんので、コミュニケーションの取り方で勝負をしていく必要があります。
ここを作業のように進めてしまうと思うようになかなか売り上げが出ないので要注意です。
求職者とのやりとりのなかで、常に「意向度を上げる」「意向度を上げる」という意識を持っておきましょう。
必要ツール
- 携帯電話(ガラケーでもよし)
6.入社までフォローする
対策どおり面接がうまくいき、企業側からの印象もよければ無事内定が出ます。内定が出ることで仕事はひと段落といったところですが、内定が出ても「そこに入社するかどうか」はまた別の話です。
ただ、認識としてはじめから「ここから内定が出たら入社するかどうか」の確認が取れていれば、内定が出てから焦ったり浮き沈みすることもありませんので、やはりここまでのコミュニケーションが一番大切ですね。
内定通知書の確認
内定が出ると、会社から内定通知書が送られてきます。人材紹介を使っている会社ではあまり起こらないことですが、ここでしっかり給与面、福利厚生などの条件が事前情報と相違ないかどうかを確認しましょう。あった場合にはこちらから企業に働きかけて、せめて私たちが違和感のない状態にしておくと良いです。
問題がなければ、求職者に「事前の話と相違ありませんでした」という旨も添えて内定通知書を送ってあげると親切です。逆に、内定通知書に違和感があった場合に、求職者に多大な不安を持たせてしまうとともに、最悪の場合不信感を持たれてしまいますので要注意です。
内定承諾をもらう
先ほどお伝えしたとおり、事前に「内定が出たら入社する」という意思をもらっておくことで、内定後スムーズに内定承諾をもらうことができます。これができていたら100点ですね。ちなみに『事前に「内定が出たら入社する」という意思をもらっておく』ことを「握る」といいます。業界用語かもしれませんが。
内定通知書を確認し、求職者に確認を取り、「この会社に入社したいです」という意志確認が取れたら内定承諾となります。
入社までのフォロー
内定承諾までが人材紹介のお仕事になりますが、実際には、「入社しなければ売上にはならない」です。なので、内定承諾後も求職者の方がスムーズに入社できるようにフォローを続けてあげましょう。もっというと、入社してからも何かあれば相談に来られる方もたまにいます。
また、下記の記事でも書いたとおり、人材紹介の場合ほとんどが「返金規定」を定めています。具体例を挙げると「3ヶ月以内に退職した場合、50%返金してくださいね」という内容のものが多いです。あとは「1ヶ月以内に退職した場合、 80%返金してくださいね」も割と多いです。
人材紹介事業のビジネスモデルを理解して、最速でキャッシュを生む方法そのため、私たちができる対策としては、ミスマッチの起こりそうな企業に無理に入社させたりしないことや、入社後もできる範囲内でフォローしてあげるだけで短期離職の確率を大幅に減らすすることが可能です。
まとめ
ここまでかなり長くなってしまいましたが、実際に日々の業務から売上に繋がるまでの流れを細かく見ていきました。
こうして見てみるとやることはたくさんありますが、通常はこれに法人営業というお仕事がプラスされるので、人材紹介の営業職って本当に大変ですね・・。ただ、私の提案している方法はあくまでCA業務に集中するというものなので、これでも負担は少ないです。
何度もお伝えしてきたとおり、業務自体は単純なのと、結局は「慣れ」がかなり効いてくるお仕事でもあります。最初の3ヶ月くらいは確度の低い方でもしっかり面談をして、どんな人もまずはエントリーに出してみるくらいの気概が必要です。
また必要ツールもまとめておきます。
- Indeed
- 求人データベース(agentbank)
- Googleドキュメント(ノウハウ蓄積、データ解析)
- ZOOM(無料版でも○)
- 企業用LINE@
- AcrobatPro(書類の修正にPDF編集ツールが必須)
- Microsoft word(推薦状)
- 携帯電話(ガラケーでもよし)
このなかで有料ツールとしての契約が必要なのは、PDF編集ソフトのAcrobatProくらいになります。また求職者とやりとりをする際に、電話でコミュニケーションを取れるとベストなので携帯電話があると良いです。ただしSMSも結構使えるのでスマホがおすすめです。
ただし、最初は携帯電話料金が不安…という方はZoom無料版で完結することも可能なので、不安なうちは無理しなくても良いかと思います。