人材紹介事業における収益が出るまでのフローが理解できたら、実際の事業計画書とKPI設定の仕方を解説いたします。まずはこれまでの復習です。
- 私達の目指す人材紹介事業はRAを持たずCAだけに集中する
- コロナ情勢を鑑みてローキャリア層をターゲットにする
- そのために集客はIndeed、求人データベースはagentbankを使う
- 固定費を抑えてできる限り利益率をあげていく
ここまでは大丈夫でしょうか?ちょっとまだ不安という方は過去の記事にざっと目を通しておいてくださいね。
新規事業の狙い目!人材紹介事業をおすすめする理由を徹底解説 人材紹介事業のビジネスモデルを理解して、最速でキャッシュを生む方法 人材紹介事業の立ち上げに必要なコストと成果が出るまでに必要なリソースここまでの流れを理解していただくと、次に必要なのは「どういった指標を目標にすべきか」というところかと思います。これも、前回同様流れに沿ってお伝えしていきますので、参考にしてください。
なお指標ができればあとはGoogleスプレッドシートで数値管理をすればOKなので、スプレッドシートのつくり方などは割愛します。それらをどのように管理していくかもお伝えしてまいりますので、参考に表などを自作してみてください。
目次
「集客」における目標数値
まずは集客の目標数値からです。集客担当者は、基本的に毎日求人を投稿しましょう、ということをお伝えしました。本当に毎日です。できれば土日も、応募が多いタイミングなので漏れなく投稿したいところです。
そのため人材を採用する際にはできるだけ毎日、慣れるまでは2〜3時間/日を確保できる人を採用することが望ましいです。兎にも角にも集客は事業の要になります。
毎日投稿数
求人票の投稿は毎日5職種(5〜15求人)を目標に投稿しましょう。ちなみに、Indeedを使う場合集客しづらいのは営業寄りの人材です。なので、ここではバランスよく
- 事務
- エンジニア
- キャリアアドバイザー
のようなイメージで、集めやすい求人を混ぜながら投稿していきましょう。ちなみに未経験の事務職はかなり選考が厳しいので、応募数の確保のためには必要ですが、「本当に欲しいのは営業寄りの人材」ということを覚えておきましょう。
またひとつの求人につき勤務地は原則一箇所ですが、「東京都赤坂区赤坂」「東京都赤坂区」「東京都23区」みたいな形で、ひとつの求人に2〜3勤務地は投稿できますので、このような形で分散させつつ、ある程度の求人数を確保するようにしましょう。
「面談」における目標数値
応募が来たらすぐに面談を設定しましょう。
面談設定率
応募から面談につながる確率のことを「面談設定率」といいます。面談設定率の目標数値は30%です。人材紹介会社の平均が30%程度なので、まずはここを目指しましょう。
面談設定率が低いということは単純に「応募が面談につながっていない」ということになります。応募には広告費がかかっていますから、これって非常に勿体ないことなんですね。なのでまずは応募が来るようになったら、できる限り面談につなげられるように即レスで対応していきましょう。
面談数
ひとりのキャリアアドバイザーが1日に行うべき面談数ですが、一日丸々使える方であれば4面談、最低でも2面談行い、平均を3面談/日くらいにならすのが最もほどよい数であると思います。
面談自体はそこまで時間はかからないのですが、求職者によっては履歴書・職務経歴書を作成代行してあげるなどエントリーまでに手間がかかる方が一定数います。その際に、面談数に余裕がないとエントリー数に支障が出ますので、多くても4面談くらいに抑えておくのがベストです。
応募承諾数
ひとりあたりの求職者にたいして、目指したい応募承諾数は平均で5つです。以前記事でもご説明しましたが、私たちのターゲット層は決して書類選考に通過しやすいわけではありません。コロナ禍も相まって書類選考の通過率がそこまで高くないため、応募数が2,3つだとあっさり持ち玉ゼロになってしまうのです。
ただし求職者は「エントリーを多めに出す」という概念がまるでないので、厳選して選んできます。ここはキャリアアドバイザーの腕の見せ所ですね。しっかりと事情を説明して、「1社でも多めに出しましょう」というお話をしてあげてください。
「エントリー」における目標数値
面談が終わり、必要書類が揃ったら実際に企業にエントリーを出していきます。
書類選考通過率の目標
書類選考の通過率は50%を目指しましょう。実際には30%程度になる会社が多いので許容範囲で、20%代であれば原因を究明したほうが良さそうです。書類選考の通過率が悪いときの原因はふたつだけです。
- 紹介している求人が合っていない(提案力に問題あり)
- 人材の質が悪い(集客に問題あり)
私のときも書類選考通過率があまり良くないときには、上記を徹底して改善しました。
「面接」における目標数値
書類選考に通過したら、次は面接です。面接はプロセスによって通過率が違いますので要注意です!
1次面接の通過率
まず、1次面接の通過率は50%を目指しましょう。私がやっているときには30〜50%を推移することが多かったです。ここで大きく数字が下がる場合、先程の書類選考のときと同様、なにか原因がある可能性が高いです。
- 紹介している求人が合っていない(提案力に問題あり)
- 人材の質が悪い(集客に問題あり)
数字を意識しながら常に原因究明とブラッシュアップを続けていくと良いですね。
二次〜最終面接の通過率
企業によって面接の数は違いますが、基本的に1次面接以降は、通過率50〜80%を目指しましょう。
応募承諾率は80%以上を目指します。応募承諾というのは、内定が出た会社にたいして「この会社に入社します」という意思表示です。こちらに関しては、最終面接を受ける前に握っておく必要がある、というお話をしましたね。
ちなみに、応募承諾率は100%を目指すくらいが良いと思います。
決定率の目安
さて、ここまでは各フェーズにおけるKPIの目安についてお伝えしてまいりました。ここで最終的な決定率の目安をお伝えすると、小規模事業主における決定率は、5〜10%を目指すと良いです。私は大体8〜10%をキープしていましたが、コンスタントに問題なく売上を出し続けることができていました。
KPI各指標のまとめ
ここまで説明してきた、各フェーズにおけるKPIをまとめます。
KPI指標から事業計画書をつくる方法
[https://tengbentong87.com/wp-content/uploads/2021/07/P028615979_480.jpg”]ラストスパートだニャ!![/say]各KPIの指標ができたところで、次は事業計画書をつくる方法です。上の画像を見ていただくと、細かな各指標はありますが基本的には「決定率10%」を最も大きな指標として持っておくとシンプルに考えることができます。
また事業計画書を作成するときに重要になってくるのが決定単価をいくらに設定するか、です。これに関してはコロナ真っ只中なので、30万くらいにしておくと無難です。めちゃくちゃ安いですが・・・・今回はひとまず40万で計算します。
さらに固定費は80万で計算していきます。固定費の概念についてはこちらを参考に。
人材紹介事業の立ち上げに必要なコストと成果が出るまでに必要なリソース事業計画書をつくるための考え方は下記になります。
- 固定費が80万、利益率を50%を目標とする
- 売り上げは160万必要
- 1ヶ月で160万の売り上げを立てるには、4名の決定が必要
- 4名決定するには、(決定率が10%なので)40名の面談が必要
- 1ヶ月に40名面談することができれば達成可能
という風に、逆算していくと、案外達成可能な数字であることがわかります。またこれらをスプレッドシートに書き落としていって、【固定費】【面談数】【各KPI】【決定人数】【売り上げ】という項目をつくります。
これだけで充分に人材紹介事業の立ち上げに必要な事業計画書が出来上がります。
最後に
以上が、人材紹介事業における事業計画書のつくり方になります。目標とすべき数字がわかると作業にも打ち込みやすくなりますね。
そして経験則ですが、まずはなによりもまず「いかに面談するか」という数勝負なところも出てきます。面談をすると気が付くのですが、良い人材に出会える確率ってそう高くありません。でも、その人が良い人材か否かというのは、応募の時点ではわからないんですよね。
なので、まずは数会ってみて、どんな人でも一生懸命サポートしてみる、ということが大切なのではないかと思います。そのなかで段々と「受かる人・受からない人」がわかってきます。
ここまでできるようになると非常に効率よく面談をすることができるようになりますよ!